近年、少子高齢化に伴う日本経済の先行き不安や財政問題などにより、国内だけで資産管理をすることにリスクを感じ、国外資産を用いた資産運用が注目されています。日本円や日本の金融機関への不安により、国外の銀行口座を開設し、外貨で資産形成したいという人が増えています。
海外口座とは
海外口座とは、文字どおり海外の銀行で開設する銀行口座のことで、その国の通貨で運用することが基本です。国外の金融商品に魅力を感じ、国外投資をしようと考えた場合、国内のネット証券でも、国外の株式や投資信託、ETF(上場投資信託)などを直接購入することができます。しかしながら、国内の金融機関が取り扱っていない金融商品を購入したい場合は、国外の金融機関と取引を開始する必要が出てきます。
一方で、アンチマネーロンダリングへの取り組みの一環で、世界的に非居住者に対しての銀行口座開設が厳しくなっているのが現状です。仮に可能であっても、現地の窓口に訪問して手続きを行う必要があります。入出国の制限が緩和されてきたとはいえ、気軽に現地の窓口を訪問することはハードルが高いといえるでしょう。また、国外の銀行に資産を預金することは、資産の分散という点でも価値があります。資産運用の鉄則でもある資産分散を行い安心感を得るため、国外で外貨預金をしてリスクを分散させる人も増えています。
海外口座開設のメリットは?
わざわざ事情の良くわからない異国の銀行と取引する価値は本当にあるのでしょうか。疑問点を紹介します。一つ目は日本よりも金利が高いことです。これが最大のメリットです。最近の日本では、低金利政策が継続されており、ほぼ金利は期待できない状況です。一方、国外の銀行では、1~5%の年利を確保できる場合が多くなっています。もっと高金利を提供している銀行もありますが、為替手数料や為替リスクの発生を考慮しておくべきです。二つめは、為替変動のリスクヘッジになることです。日本円だけで資産を保有していると、価値が暴落した場合に大きな損失を受けます。国外で外貨として資産管理をしていれば、最悪の事態を回避することができます。外貨預金をすることで、為替変動の利益を受けることも可能です。ただし、為替の分散効果は、国内の外貨預金、外貨MMF(外貨建て投資信託)などを利用することで日本国内でも受けることは可能です。
三つめは財政破綻のリスクを回避できることです。国外で預金を持っていると日本が財政破綻を起こした場合に資産を守ることができます。ギリシャの例のように、財政破綻を起こす国が出ています。日本の債務超過は、1,000兆円をゆうに超えていますので、財政破綻を引き起こすという可能性はゼロではありません。起こりうるリスクを回避するため、国外で資産を保有することが注目されています。
メリット・デメリットを事前によく検討しよう
国外の銀行と取引し、海外投資による資産運用をするにあたっては、基本的な仕組み、それらのメリット・デメリットなどを十分検討したうえで決断してください。生半可の知識や周囲の風潮だけに流されて安易に選んでしまうと、思わぬ損失を被る可能性があります。プロに相談するなど慎重な投資姿勢が大切であることを覚えておきましょう。